こんにちは、高山大知(@daichihandflute)です。
普段使い用のカメラ、FUJIFILMのX-T4。これに付けている、コシナ フォクトレンダー『NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ S.C』というレンズがあります。
このレンズ、最近のレンズのようにカチカチにシャープに写るものではなくて、ちょっと滲みがあるような、面白いレンズなんですね。しかもオートフォーカスもできないので、ピントも自分でリングを回して合わせて撮ります。

見た目もカッコいいんですよ。このレンズに合うようにX-T4を選んだくらい、見た目を気に入って使いはじめたレンズです。
ただ、ひとつ大きな悩みがありました。
まったく、対象に寄って撮れないんですね。つまり、近距離にピントが合わせられません。
なぜかというと、このレンズはセンサーから70cmまでにしかピントが合わせられない作りになっているからです。
X-T4につけることで50mm相当くらいの大きさで写りはするんですが、近くのものにピントを合わせようとしても、限界があるんです。たとえば自分が座っているテーブルに置いてあるコーヒーを撮ろうとしても撮れません。ものすごく仰け反って撮るか、席から立ち上がらないといけないレベルです。物撮りをしてても、書いてある文字やボタンなどを大きく写したくても、無理です。
遠くのモノや大きいモノを撮る時にはあまり困らないんですが、小さいモノはとことん小さくなってしまうんですね。今までも、撮りたいなと思ったものが見たまんまで撮れないため、諦めたり、Canonのカメラの方で撮ったりしていました。
ただせっかく買ったのでもっと活かしたいなと思い、近くに寄れないこの悩みを解決するアイテムを買いました。
SHOTEN LM-FX M(S)

それが、こんなアイテムです。
これはレンズとカメラの間に取り付けるマウントアダプターというものです。しかし普通のマウントアダプターではなくて、リング部分を回すことでせり出すように動くようになっているんですね。それによってレンズとセンサーに距離ができて、近距離にピントが合うようになるという仕組みです。こういうレンズがせり出す機構を、“ヘリコイド”と言います。
購入したのは、『焦点工房』のヘリコイド付きマウントアダプターで『LM-FX M(S)』です。ライカMマウントのレンズを、フジXマウントのカメラにつけるための変換アダプターで、ヘリコイドの展開で6mmのせり出しが可能です。ほかにもいろんなレンズやカメラ用のアダプターが発売されています。

ライカMからフジXへ変換するこのタイプにはブラックとシルバーの2種類のカラーがあって、僕はシルバーを選んでみました。レンズに色を合わせるならブラックの方がいいかもしれないんですが、なんとなくシルバーの方がリング部の刻みや光り方がカッコいいなと思って選んでみました。
ちなみに、FUJIFILM X-Pro2、X-Pro3にはレンズ取り外しボタンとの干渉で取り付けられないようです。X-T4は問題ありません。
あとはレンズの後玉が出ていたりなどでも、取り付けられないことがあるようです。

梱包は結構しっかり色々入ってました。
箱、ケース、フロント&リア保護キャップ、ポーチです。

アダプターはヘリコイド機構が組み込まれているくらいで、レンズなどはありません。
真鍮で出来ているので、ちょっと重み(84g)はありますが、光り方もカッコいいです。

僕が今まで使っていた、K&F conceptのLM-FX変換アダプターと比較。左が今回買ったSHOTEN LM-FX M(S)、右がK&F conceptのアダプターです。
厚みはあんまり変わらないですね。
レンズ取り外しボタンは、K&Fのモノが外側についているのに比べて、SHOTENのものは少し上(レンズ側)に飛び出ている感じです。もしかしたらレンズによっては干渉する可能性もあるんでしょうか…?僕のNOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ S.Cは干渉しませんでした。

直径は少しSHOTEN(左)の方が大きめです。

裏側には赤い印がついています。ここをカメラと合わせて取り付けます。
取り付け

FUJIFILM X-T4に取り付け、NOKTON Classic 35mmを付けてみたところ。
取り付けなんですが、ボディへの嵌め込みはかなり固いです!!
レンズの取り付けも、ボディほどではないですが固いです。指でしっかり握れる部分もないからか、かなり嵌め込みしづらいです。
K&Fのアダプターも固かったので、アダプターの設計って結構難しいのかもしれないですね。あまり何度もつけ外ししたいとは思えないので、このまま付けっぱなしで使おうと思っています。
黒いボディと黒いレンズの間にシルバーが挟まる感じになりました。見た目がカッコいい…。シルバーのレンズと合わせるとどんな感じになるかもいつか試したいですが、僕が持ってるのはこのレンズだけなので今回はNOKTON Classic 35mmしか登場しません。笑
使い方

使う時には、刻みが入ったリング部分を回します。
こちらは通常時です。

こちらは展開時。
回すとリングの前後部分がせり出して、レンズが前側に移動します。
リングは、カメラの正面から見て反時計回りに回すと展開、時計回りに回すと収納される動きになります。一応レンズのフォーカスリングと回す向きが一緒なんですが、アダプターはレンズよりもボディ側に付いているので、指の移動は必要です。また、リングには少しトルクがあるので、指一本で回すのは難しく、指2本使って回す感じになります。リング部分はまぁまぁ厚みがあるので、慣れれば回しづらさは無いと思います。
驚くほど寄れる!
早速アダプターを使って色々撮ってみました!

これは通常時。APS-Cセンサーなのでだいたい50mm相当ですが、ピントを最大まで手前にしてもここまでしか寄れません。寄りたくても、ピントが合いません。

そしてこれが、その状態でヘリコイドを最大展開したところ。
対象に、かなりレンズを近づけて撮れます!!
え!?こんなに寄れるの!?とビックリ…。
枝の毛??のようなものまで見えます…(シミュレーションでシャープ+3はかけてます)。なんだこれは。今までと別物すぎます。
マクロ専用になる

こちらはまた通常時。小さいモノほど小さくなってしまうんですよね。

ヘリコイド展開時。文字にクローズアップ出来るようになります。

そしてこちらは、ヘリコイドを最大展開したまま、レンズのピントを無限遠にしたところ。
そうです。ヘリコイドを展開すると、レンズのピントは近距離専用になるみたいなんですね。フォーカスリングを近距離から無限遠に回しても、近距離で少し合焦位置が変わるだけです。
つまりヘリコイドを展開したまま、近距離と遠距離の両方の写真を撮ることはできず、近距離にピントを合わせたい時だけヘリコイドを展開させる使い方になります。
なので基本的にはヘリコイドを収納しておいて、近い距離のモノを撮りたい時だけヘリコイドを回して撮るという使い方になりますね。近距離にはかなり寄れるようになりますが、ピント面が極端に制限されるので、写りの大きさ、余白、ピントを考慮しながら思い通りに撮るのはちょっとコツがいるかもしれません。
リングを二つ回さないといけないというのもちょっと手間だけど、寄りたかったけど寄れなかった今までの我慢が解消されたのは本当に嬉しいです。
いろいろ撮ってみた
ということで撮るのを諦めていた、色々なモノを試しに撮ってみました。

通常時。

展開時。ハーフマクロレンズ的な使い方が出来ます!
ホコリまで見えちゃう。
ボケ凄いな…。このレンズ、こんなボケたんだ…。ちなみにF2.8で撮ってます(確か)。

通常時。

展開時。
タイトルの印刷のドット?まで見えます。
凄い!!!
これは本当に我慢することが減りそう!

通常時。

展開時。
どこの葉??

展開時。
今まで写りすぎてた周りの情報をかなり減らせるようになりました。
使い方的には、レンズのフォーカスリングを0.7m(最短)にしておきながら、ヘリコイド部を回してピントを調整することも出来ます。

通常時。
こういう写真も、引いていてまぁまぁ良いと思います。
引いているというよりは、引かざるをえないという感じですが…。

展開時がこちら。
結構近い!
あと微妙にピント外しちゃってます!
寄りたいと思った時に寄れるようになったことで、撮りたいモノを我慢しなくて良くなったことがとてもメリット大きいです。

通常時。
花が小さすぎて、何を撮りたいのか分かりづらくなっていた写真。
(いやこういう写真も好きなんだけれども)

ヘリコイド展開時。
それがこれくらいまで寄れるように。
寄るとF2.8ではボケすぎる時もあるので、これまで以上に絞ることが増えそうです。
これは嬉しいなぁ。
まとめ

ということで、焦点工房(SHOTEN)のライカM⇨フジXマウント変換ヘリコイド付きアダプター、LM-FX M(S)のレビューでした。
我慢や制限の中から生まれるものもあると思うんですが、自由なら自由で、自分がやりたいことを出来るようになりますからね。ちょっと価格は勇気いりますが、撮りたい気持ちを我慢していた方にはおすすめします。
